恋の罪


恋の罪


園子温監督。
冷たい熱帯魚』に引き続き、実際に起きた殺人事件からインスパイアを受けた物語。
今回もR-18。濡れ場多いです。エロいです。


出てくる女性三人は皆表と裏の顔がある。
どこかでバランスを保たないと崩れてしまう。
それが三人ともセックスなのである。


『愛がなければお金を取らなきゃ』
『陰があると言われているうちなら、まだ戻れる。闇は陰より濃いからね』
富樫真の怪演に圧倒された。メイクで物凄く変わるね。彼女演じる美津子の言葉が鑑賞後頭の中をぐるぐるしている。女子にしか解らないセックスに対する考えってあると思う。勿論人それぞれだけど。映画で出てきた『言葉は身体を持つ』という言葉。セックスすると自分の存在感が確かめられる。愛があるかないかは関係なく。欲を満たすというよりアイデンティティの確認に近いかもしれない。


神楽坂恵の演技はあまり好きじゃないのだが(棒読みというか…わざとらしくて恥ずかしくなる時がある。今回なら裸で『いらっしゃいませ!美味しいですよ!』連呼シーン)本当に身体はってて凄いと思った。おっぱいたわたわ。
ラストの小学生といずみのシーンを見て『NINE』のサラギーナ思い出した。子供と娼婦。
あと、着てるお洋服がLois CRAYONぽいなぁと思ってたらビンゴ。エンドクレジットで確認。刺繍カーディガンとかお嬢様服ね。


アンジャッシュの児島にもっと活躍して欲しかった。
彼は変態が似合う!いつか猟奇的な変態とか演じて欲しいですね。


後半の展開がいまいちだなぁと感じてしまったのだが、園子温ワールドを堪能出来たので満足かな。最後に劇中に出てきた田村隆一の『帰途』を置いておきます。

言葉なんか覚えるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きてたら
どんなによかったか

あなたが美しい言葉に復讐されても
そいつは ぼくとは無関係だ
きみが静かな意味に血を流したところで
そいつも無関係だ

あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう

あなたの涙に 果実の核ほどの意味があるか
きみの一滴の血に この世界の夕暮れの
ふるえるような夕焼けのひびきがあるか

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで帰ってくる